闇金相談茨城編 男性(24):呑む打つ買うの三拍子揃った男の闇金話
自分は茨城県水戸市の飲食店でアルバイトをしている20代です。
責任のある仕事が面倒で、まともな就職活動はしませんでした。
高校を卒業し、フリーターとして働いています。
しかし、そんな自分がまさか闇金地獄に陥ろうとは、思ってもみませんでした。
高校時代の友人の中には、大学まで進学していい企業に就職した奴もいます。
そういう話を聞いてコンプレックスを感じないことは無いけれど、正直仕事に縛られるのは嫌だし、仕事人間になるのも嫌です。
いい企業に就職した友人を見ているとなんだか一気に老け込んでオヤジに近づいたように見えるし、自分はフリーターでいいやと思ってしまいます。
高校卒業からずっとフリーターなので、自分はどこかまだ学生気分が抜けていません。
毎日のようにバイト仲間と水戸駅周辺に飲みに出かけ、休みの前日には居酒屋、スナック、カラオケなどはしごすることも多くあります。
はしごをすると飲み代もかさみましたが、お酒が入るとそんなことどうでも良くなり、楽しさに負けてつい浪費してしまうのでした。
買い物も好きで、水戸駅の駅ビルのエクセルなどに、バイト帰りによく寄っていました。
自分は周りからは女顔負けの女子力の高さだなどと言われていて、つい基礎化粧品やら美顔器やらにお金をかけてしまいます。
美容に凝るようになったのは、テレビで芸人やらタレントやらの男性たちが美顔器を愛用していると知ってからです。
使いきれない基礎化粧品が家の洗面台にたくさんありますが、それでももっと良さそうなものがあるとつい買ってしまいます。
ブランド物も好きで、ショップへ行くとつい何かを買ってしまいます。
給料日まで待てばよいのですが、この出会いは今しかないのかも?と思うと、その場で買わずにはいられなくなり、カード払いやキャッシングをしてしまいます。
他にも、最近ハマっているものが家電です。
ネットなどで気になる家電を見つけると、ついエクセルみなみのビッグカメラに見に行ってしまいます。
そしてそれ以上に浪費の原因となっていたのが、パチンコです。
身近にはパチンコ店がわりと多く、ついいろんな店に出入りしてしまいます。
飲み代が足りなくなってくると、パチンコで一攫千金してやりたいという気持ちが高まってしまうこともありました。
もちろん、いくら金欠でも気にせずにパチンコ店に入ります。
だって勝てば取り返せるのですから。
いつまでたっても出ない日もありますが、なかなか潔く引き上げることができません。
ここで帰ったら損をするんじゃないか・・・そんな予感がして打ち続けることを決め、見事に出た時のあの快感!あれが今日もきっとまた来るはずだ。
もうちょっと、きっともうちょっとだ・・・。
そんな気持ちから、自分はつい、パチンコ台の前に座り続けてしまうのです。
パチンコをやらない人には分からないかもしれませんが、もう何というか、強迫観念に近い感覚で続けてしまっているのだと思います。
パチンコが出来ない日が続くと禁断症状でパニックになりそうになり、何とかして金を用意してパチンコ店に行ってしまいます。
ある日いつものように、パチンコ店へ入りました。
給料日が来たばかりなのに前日のパチンコの負けと飲み歩きのせいで財布はピンチで、今日は絶対に勝たなければという意気込みでした。
しかし、その日は全くダメでした。
勝たないと生活費が無くなるという不安から、自分はイライラしてきました。
消費者金融のCDへ行きましたが、借りられる限度額をオーバーしているようでした。
畜生!今すぐに金を貸してくれるところはないのか?
今から別の消費者金融なんかに行ってたら遅くなる!どこか・・・。
このままじゃ今日はこれ以上パチンコができないと考えると狂いそうになりました。
その日はなんとか一旦あきらめました。
次の日になって金を用意するために別の消費者金融に融資の申し込みをしたのですが、他社での延滞のせいか融資を断わられてしまいました。
これじゃいつまでたってもパチンコに行けないし飲みにも行けない。
イライラしながらギャンブル雑誌をめくると、そこに貸金業者の広告が載っているのを発見したのです。
ちょっと怪しい業者なのかなとも思いましたが、雑誌に載っているのだから正規の業者なのだろうと判断し、そこへ連絡を取ってみました。
業者は、手数料を引いた額を今すぐ口座に振り込みますと言ってくれました。
その後も、負けが込むとこの業者に連絡を取り、融資をお願いするようになっていきました。
そんな生活を続けるうちに、業者からの借金は雪だるま式に膨れ上がりました。
「では別の業者を紹介しますから、そこで借りて返済してください」
そう言われ、紹介された業者でまた金を借りました。
後から知ったのですがこれらはすべて闇金でした。
闇金同士が繋がっていて、自分にいろんな業者を紹介してきたようです。
きっと、お互いを紹介し合うことで、全ての闇金業者が損をしない仕組みになっていたのだと思います。
闇金からの借金は、すでに10社以上になっていたと思います。それでも、どうしてもパチンコがやめられません。バイト仲間との飲みもやめられませんでした。
また借りればいい・・・。そのような甘い考えで金を借り、パチンコ屋へと足を運んでしまいます。
しかし、現実はそう甘くはありませんでした。
全ての闇金に一円も返せなくなった時、恐ろしい取り立て攻撃が始まりました。
まずは、スマホへの電話でした。
「ご融資したお金の返済がまだですが、いつ返済していただけるのでしょうか?」
「返済できないなら親御さんに連絡しますが、それでもよろしいでしょうか?
初めは馬鹿丁寧に、しかし低い脅すような話し方をしてきました。
電話の回数は、もうひっきりなしと言ってもいいくらいです。
夜中、早朝、バイト中。もちろんお構いなしでした。
そのうちに、口調は汚く罵るように変わっていきました。
「おい、まだ返せねーのか?家族めちゃめちゃにされてーのか?」
「お前が返せないなら、お前のオヤジの会社に乗り込むけどそれでいいかな?」
「今すぐそっち行くから覚悟しとけよ。金用意しておかないとどうなるか分かってるよな?」
自分や家族の身の危険をにおわすようなことまで言われ、生きた心地がしませんでした。
そして事件は起こりました。
脅しだけかと思っていましたが、本当に父の勤め先にまで取り立て電話がひっきりなしにかかるようになったのです。
父は上から叱責され、他部署に飛ばされることになってしまいました。
もちろん、自宅の固定電話にも闇金の取り立て電話はかかってきます。
自分は両親と同居でしたから、すぐに借金のことがバレてしまいました。
母は、自分のブランド物などを質に入れれば少しはお金を作れるだろうと、大切にしていたエルメスのバッグや宝石類などを売ってお金を用意してくれました。
それでも、焼け石に水でした。
10社以上の闇金相手の借金は膨らむばかりで、取り立ても勢いを増します。
鳴り続く固定電話の着信音に、母は鬱になり寝込むようになってしまいました。
自宅に、スマホに、父の会社に・・・。
取り立ての電話は止まりません。
もちろん、闇金の相談なんて誰にもできません・・・。
四六時中怒鳴られ罵られ馬鹿にされ、自分もさすがに気持ちが折れました。
思えば、全て自分の蒔いた種です。
呑む、打つ、買う・・・。
それをやめられなかったばっかりに、家族まで巻き添えにしてしまいました。
父はもう、自分をまともな人間だとは認めてくれていません。
「顔も見たくない、お前なんかさっさと出て行け」
そう言われていますが金がないので出て生きようがなく、今も言葉も交わさずに一つ屋根の下で暮らしています。
今さらになって、家族との楽しかった思い出が浮かんできます。
こんな自分を大切に育ててくれた両親。
それなのに、自分は裏切るようなことをしてしまったのです。
もう、取り返しのつかないところまで来てしまいました。
自分のくだらない欲望を満たすために、闇金から借金をしてしまったばっかりに・・・。