闇金相談大阪編 女性(34):男に入れ込み貢いだ結果、闇金地獄に陥った話
私は大阪在住の会社員です。
自分で言うのも恥ずかしいのですが、子どものころから地道に真面目に生きて来ました。
あまり冒険はできない性格で、自分の容姿などにも自信が無く、目立たないように、無難に・・・ここまで来てしまった感じです。
なかなか彼氏もできませんでした。
彼氏が出来ると、がっちり捕まえておきたくてつい尽くしてしまうタイプで、重いと言われて振られてしまう事も。
30歳を過ぎましたが、もちろん独身です。
そんな私を心配した友人が、ミナミにあるホストクラブに行かないかと誘ってくれたのです。
ホストクラブ・・・。
私が今まで生きてきて、全く縁のない場所でした。
そもそも、夜にミナミあたりをわざわざ歩くなんてあまりしたことがありませんでした。
観光客も多く、人でごった返していてなんだか危険な気がしていたからです。
はっきり言って全く気が進みませんでしたが、せっかく友人が私の事を心配してくれてのことですので、断るわけにもいかず。
一度きりだという約束で、連れて行ってもらうことになりました。
お店の外観は妙にキラキラしていて、私は激しく気後れしました。
やっぱり、来なければよかった。完全に場違いだ。
手持ちの服の中で一番オシャレなものを着てきたつもりでしたが、店内に入っていくお客の女の子たちはみんな気合の入ったファッションをしていて、本当に惨めになりました。
初回の来店ということで、色々なホストの方がテーブルに来てくれました。
こんな私と話していても面白くもなんともないんだろうな。
仕事だから、頑張って笑顔でいてくれているだけだよね?
そう思うと、なんだか申し訳ない気持ちにさえなりました。
そんな私の様子をみかねてか、ある一人のホストが私に言ってくれたのです。
「あなたはピュアで素敵な女性ですよ。まだ自分の魅力に気づいていないだけ。
もっと自信を持たなきゃ、もったいないですよ」
仕事だからこんなこと言ってくれてるだけだと分かっていながらも、やはり悪い気はせず。
その彼を送り指名にし、その日はお店を後にしました。
「ホストクラブ、どうだった?一度行くとハマるのよね〜」と友人に言われ、「やっぱり場違いでなんだか落ち着かなかった。でもまあ、たまにならまた行ってもいいかな・・・」と答える私。
心の中では、少しだけ彼のことが気になっていました。
数日たち、ホストの彼からメールが。
「こないだはありがとう。久々にあなたのような心の綺麗な人と話せてうれしかったよ。
今度はお店じゃなく、二人だけで会わない?」
どうせお店に来てほしいからそんなことを言っているんだろう。
そう思ってしばらく無視していました。
その後も、たびたび彼からメールがありました。
「いきなり誘っちゃったりしてゴメン。
じゃ、またよかったらお店に来てよ。
今度は二人だけでいっぱい話そうよ♪」
あまり無視し続けるのも気が引けたので、私は一人でホストクラブに出かけ、彼を指名しました。
「本当に来てくれると思わなかった。うれしい、本当にうれしいよ」
彼は言ってくれました。
いくら仕事とはいえ、私に会えてうれしいなんて言ってくれる男性は今までにいませんでした。
学校でも職場でも、私はその他大勢。かわいい子たちの引き立て役。いてもいなくても一緒。
そんな辛さを彼に話したら
「やっぱり、目立つ子の方にどうしても目が行っちゃうからね。でも、見てる人はちゃんと見てるんだよ。俺は目立つ子よりも、心の綺麗な子が好きだな。」
「もっと自分の価値に気づかなきゃ。あなたは世界にたった一人の、かけがえのない女性なんだよ」
などと、ひたすら存在価値を認め、私を肯定してくれました。
仕事だとは分かっている。でも・・・心地いい。
こんな私を肯定して認めてくれる。
いてもいいんだ。
こんな地味でこれといったとりえのない私でも、価値があるんだ。
そう思わせてくれた彼を、素晴らしい男性だと思わずにはいられませんでした。
ホストなんてチャラいし、みんなお金のために女性にお世辞を言っているだけだ。
そう思っていました。
でも彼は違う。
彼だけは、違ったんです。
そう思ってしまってからは、彼に会わずにはいられなくなってしまいました。
今まで真面目に貯めてきた貯金を切り崩し、何度も彼に会いにホストクラブに行きました。
たまに、お店の外でも彼と会いました。
お店とは違ったちょっとナチュラルなファッションに身を包んだ彼も素敵で、それは夢のような時間でした。
彼は、ホストとしてもっと上に行きたいという気持ちを持っているようで、いつかナンバーワンになるのが夢だと語ってくれました。
そのうえでの悩みなども包み隠さず話してくれて、もしかしたら自分は特別な存在なのかも?と感じるようになっていました。
彼の笑顔が見たくて、もっと彼の売り上げに貢献したくて、ついついお金を使ってしまう。
でも、それでもよかった。
彼の夢に貢献できるなら、使い道の決まっていなかった私の貯金など、別に惜しいとは思いませんでした。
そんな日々が続けば、当然貯金は底をつきます。
でも、彼の夢を応援したいという私の気持ちは変わらず、ますますお金をつぎ込むようになってしまったのです。
デート中に「あの財布欲しいんだよね♪今度給料入ったら買おうかな・・・」などと言われてしまえば、つい買ってあげてしまいます。
もっともっとホストとして輝いてほしくて、新しいスーツ、高級ブランドの時計、靴・・・あらゆるものを買ってあげてしまう自分がいました。
クレジットカードの限度額もいっぱいになり、消費者金融のカードローンにも手を出しました。
しかし、一晩に数十万円使ってしまう事もあり、消費者金融から借りられる金額も超える日が来てしまいました。
それでも、彼に会いたい、会いたい。彼のために何でもしてあげたい。
その気持ちがどうしても抑えきれず、私は何としてでもお金を作らなければと焦りました。
お金がなければ、彼から見捨てられてしまうのではないかという気持ちもあったのかもしれません。
そんな気持ちを抱えながら街を歩いていると、電柱に「今すぐ貸します」の文字を見つけました。
これだ!
深く考えず、私は夢中に連絡を取りました。
当然、その業者は闇金でした。
でも闇金から借金をする怖さよりも、彼に会いたい気持ちの方が大きかったのです。
10日後に返済をすることを約束し、私は闇金からお金を借りました。
このお金でまた彼に会いに行ける!
彼の夢に貢献してあげられるんだ・・・。
その事しか考えられません。
借りてしまったはいいけれど、当然、返済できるわけがありません。金利は、後から考えてみると10日で3割だったようです。
全額返金できる持ち合わせがないことを告げると、利息だけを返済するように言われました。
そして彼に会いたい一心で、追加融資まで受けてしまいました。
「今月、もしかしたらナンバーワンになれるかもしれなくてさ、あとちょっとなんだよね」
ある日お店でそう彼に告げられました。
何としてでも私がナンバーワンにしてあげたくて、私は結局、その日もすべてをつぎ込んでしまったのでした。
現実に戻って恐ろしくなりましたが、全てが遅すぎました。
すでに闇金に返済できるお金は1円もなくなり、ついに取り立てがやってくるようになったのです。
ドアが乱暴にドンドン蹴られているのが分かると、私は恐ろしくて縮み上がりました。
震えが止まらず、嵐が通り過ぎるのを待つしかありませんでした。
数人の男たちが、うちの玄関の前にいる気配がしました。
「〇〇さーん、いるんやろ?借りたもんはちゃんと返してもらわんと」
「返せないなら風俗でも行って金作ってこいやコラ」
取り立ての電話も止まりません。
大声で怒鳴られ、不整脈が出て動悸が止まらなくなります。
でも無視したら家にまた来るのではないかという恐ろしさもあり、泣く泣く電話に出ていました。
相変わらず真面目なOLとして仕事をしていましたが、ついに職場へも嫌がらせの電話がかかってくるようになってしまいました。
上司から「これはどういうことか説明しなさい」と言われ、仕方なく事の経緯を話しました。
上司は「君のような真面目な人がね・・・」と呆れていたようでした。
そのうち闇金からの借金の噂はは同僚にまで知られることとなってしまい、私は好奇の目にさらされることになりました。
こんな目に遭ってでも、彼に会いたい気持ちは変わりませんでした。
そして闇金に言われた通り、風俗で働くことを決意しました。
風俗で働けば闇金への返済ができて、彼に会うお金も作れるかもしれない、そう思ったのです。
年齢はギリギリでしたが、何とか雇ってくれるところがありました。
正直、風俗の仕事は耐えられるものではありませんでした。
中には私を見て、「なんだ、ババアじゃねーか」などと暴言を吐く客もいました。
それでも、どんなにつらくても、全て彼のためだ・・・と思ったら、なんとか耐えることができました。
闇金へ返済しなければ。
そう思っていても、つい彼に会いに行き、売り上げに貢献してしまう毎日。
結局闇金への返済は滞ることになり、常に取り立て地獄に追われていました。
玄関への貼り紙、消防車、ご近所への取り立て・・・。さまざまな嫌がらせをされました。
私は身も心も疲れ切ってしましました。
もう、これ以上は無理だ。
そう思った私は、あんなに大好きだった彼と会うのをやめる決心をしました。
お金がなくてもう来られない。そう彼に告げると、「ふーん。そうなんだ」と言い、それっきり黙ってしまいました。
やはり、彼は私の事なんて好きではなかったのです。
そんなこと頭では分かっていましたが、ハマってしまったものは仕方がなかったのです。
残ったのは、虚しさと借金だけ。
いつやってくるか分からない闇金の取り立てに怯えながら、風俗で働いてお金を作る毎日です。
私の人生の歯車は、どこで狂ってしまったのだろうか。
そんなこと、今さら考えても遅すぎるのです。